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東京高等裁判所 昭和50年(ラ)592号 決定 1976年4月12日

抗告人 甲野太郎

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。

本件記録によれば、原審判認定事実を認めることができるが、それによると、申立人は九五才の高齢であり、事件本人乙山花子は九才であって申立人とは遠い姻戚関係にあるが、申立人は養親となっても事件本人を現実に監護養育する意思も能力もなく、もっぱら家名及び家の祭祀(墓地管理)、財産の一部の各承継を目的として、本件養子縁組許可申立をしたことが明らかである。かような未成年養子縁組は、家の制度が廃止された現在において、民法の趣旨に反するし、かつそれ自体未成年者の福祉にも適合しないものとして、許されないものといわなければならない。申立人が抗告理由において主張する事情は右判断を左右せず、ほかに原審判を取り消すべき事由は、記録を調査しても、見当たらない。

よって本件抗告は理由がないからこれを棄却すべきものとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 瀬戸正二 裁判官 小堀勇 青山達)

<以下省略>

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